施工レポート
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施工レポート Vol.1 2026 Spring
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工事部工事1課 課長代理 松田 翔太
| 物件 | 某企業様 研究開発施設(12階建て) |
| 種別 | 新築レイアウト工事 (空調、衛生) |
| 担当フロア | 2~12階 |
| 期間 | 10か月 |
企業様の研究開発施設の新築レイアウト工事で、お客さまが実際に使用されるにあたって「こういう設備にしたい」という要望を形にしていく工事になります。建物自体はすでに完成していて、12フロアあるうちの2階から12階までを、執務エリアや研究エリアとして仕上げました。10か月間で、いくつかのフロアをオーバーラップしながら順次進めていきました。
フロアごとにスペースの性格が異なっていて、求められているものもかなり違いました。低層部分はエントランスやカフェのあるフロア、そして研究用のスペースを中心としたフロア、ここはサーバー類も非常に多いです。あとはデスクや会議室が多く配置されているいわゆる執務フロアです。
研究フロアで特に重視されたのが、空調の安定性と静音性でした。サーバーが多いので、空調が止まることは許されません。そのため、通常とは別にサーバー専用の空調機を追加しています。音についても、「できるだけ抑えたい」という要望がありました。
一方で、執務フロアでは会議室の遮音性能が重要なポイントでした。

はい、今回の建物のようなグリッド天井の場合、通常だと換気用の制気口はただ載せるだけなのですが、それだと天井裏を伝って音が隣の部屋に漏れてしまうことがあります。遮音性についてはお客様から高いレベルが求められていましたので、通常は行わないような様々な工夫を施しました。
たとえば本来の使い方ではないんですけど、制気口に特殊な加工をして消音のボックスを取り付けたり、さらにそこにグラスウールの入った保温付のフレキシブルダクトを2mくらい付けることで、道中で音が完全に消えるようにしたりするとか。職人さんもある程度技術を持ってないとできないような、難易度の高い施工です。
ダクト自体についても、当社では最高グレードのものを標準仕様として採用しています。カットも現場では行わず、使用する長さで発注することで終端処理がきれいになるため、より精度の高い施工が可能になります。
長期間快適にお使いいただくためには、そういった細かな配慮がとても大切なんです。

設計段階の指示にあっても、実際にやってみると収まらないことも多いですね。その場合は「少し小さくしましょう」「二つに分けましょう」と、できるかたちをこちらから提案します。
感覚的に言うと、計画通りに行くのは大体5割くらいです。残りの5割は、何かしらイレギュラーが起きる前提で考えています。その際に「できません」で終わらせずに必ず代替案を出す。何も起きないのが一番ですが、何かあっても対応できる準備は常にしています。
特に苦労したのが、研究フロアでした。天井がなく、メインダクトと配管だけがある状態から、他職の事業者さんと全部つくっていく必要がありました。物量も多くて、他の階とはまったく違いましたね。
最初は、他職の方々とのコミュニケーションがスムーズに行かず、こちらの話に耳を傾けてくれないような雰囲気もありました。そこでメールや電話ではなく、直接会って話すという方法を取りました。先方の事務所に出向いて話すようにしたら、徐々に現場の空気も良くなって、共通の目的に向かって協力して進めていくことができるようになりました。
最も大変だったのがサーバールームの空調の室外機問題でした。設備用のバルコニーに置ききれず、一般のバルコニーに置く必要が出たんです。ただ、そのままだと設置面の荷重が持たない。そこで、石張りを一部撤去し、特注のラックを製作。鋼材で荷重を分散し、転倒防止まで含めた対策を提案しました。これができたのも、他職との相互理解があったからこそです。
はい。今回の現場では、若手育成もテーマの一つでした。失敗しても、あとでフォローすればいいという思いで、チャレンジできるところはどんどん任せました。若手が自分で考えて解決策を持ってきた時は、成長を感じましたね。
品質は一人で守れるものじゃないと思っています。全員が「これはいい」「これはダメ」という共通認識を持つことが大事です。たとえフロアが多かったとしても、チームで認識を共有できれば品質は保てる。今回の現場を通して、改めてそう感じました。